
詰めかけた報道陣からの問いに「(自身の)ホームページに書いてあります」と答える小泉今日子(撮影・佐藤雄彦)【拡大】
だが、小室哲哉の不倫疑惑を今年1月に週刊文春が報じたところ、明らかに空気が変わった。小室は会見で、妻・KEIKOの介護が大変だったことや自身の男性機能が弱いことなどを明かし、挙句の果てには引退を表明した。これに対しては「お前らが余計な詮索をしたせいだ!」「偉大なる才能を摘んだ」とばかりに文春に対する非難が殺到。2016年以来「文春砲」と持ち上げていた人間であろうとも今回は報じた文春を叩き、小室に同情した。
多分、この騒動により「不倫報道」そのものの意味合いが変わってきたのだろう。世間様が「不倫」という悪いことをした人間を好き放題叩けると信じ込んでいたのが2016年から2018年初頭のこと。小室の件により「代償が不当に大きすぎる」「この報道に正義はあるのか?」「これまで不倫を厳しく断罪しすぎた」といった感覚を抱くようになった。
◆不倫がバレても世間に謝罪する必要なんてない
こうした潮目の変化を読んだのかどうかは定かではないが、明らかに世間の空気が変わった後の小泉の不倫宣言である。
だが、不倫の場合は女性の方が苛烈に叩かれる風潮がある昨今、斉藤由貴でさえも結局は世間様が作り出す「空気」に負ける中、今回の小泉は「小室ショック」後の空気に乗っかり見事にサラリと不倫を明かし、世間は「おっ、おぉぉ……」と反応するしかなかった。
今回の小泉の対応というものは、「不倫は当事者と家族だけの問題」ということを突きつけ、世間に対して謝罪をする必要がない程度のことであることを白日の下に晒した。これでいいのである。小泉、豊原、そして豊原の妻子、そしてCMスポンサー等仕事関係者といった当事者とだけ色々決めればいいだけの話だ。豊原も会見なぞしないでよかったのだ。
「謝罪道」の面では「本来謝る必要がなかったものを謝っていたいびつな時代の終了」をもたらした。これから不倫がバレた人は「世間に謝罪する必要はないと思います。あとはこちらの問題です」だけで乗り切ることができることになっただけに「謝罪しない」という今回の判断は画期的である。
【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。
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【ニッポンの謝罪道】はネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、話題を呼んだ謝罪会見や企業の謝罪文などを「日本の謝罪道」に基づき評論するコラムです。更新は原則隔週水曜日。