事件・不祥事

山中所長を悩ませる予算不足の現状 論文不正は“研究者の薄給”を放置したツケ (5/9ページ)

 研究者の無期雇用によるコスト増を大学側は恐れた

 日本では若手研究者の多くが有期雇用契約であり、複数の有期雇用契約を繰り返し、教育研究経験を積み重ねることによって能力の向上を図る。よって、5年超の無期転換はむしろ研究者の能力向上の機会を奪うのではないかという大学関係者の意見はもともとあった。

 だが、これは表向きの理由であり、本音では研究者などを無期雇用にすればコストアップにつながることを大学側は恐れていた。多くの大学は賃金が安い有期雇用契約の非常勤の講師・研究者への依存度が高く、無期雇用に転換すると専任教員との待遇格差が問題化することを懸念していた。山中氏の前出の発言もそれに添ったものだった。

 2012年まで、政府の総合科学技術会議は改正労契法(無期転換)について容認姿勢をとっていた。総合科学技術会議有識者会議は2012年5月31日に「労働契約法の改正案について」という文書を発表している。

 その中で「無期労働契約」に転換した労働者を合理的な理由に基づいて解雇することが否定されるものではなないとし、プロジェクト型の研究活動を運営していくことは可能だと述べている。そのうえで「大学機関等においては、このための体制整備に適切に取り組むとともに、単に無期労働契約に転換することを忌避する目的を以て研究者等を雇止めすることがないよう望みたい」としていた。

 つまり、この時点では改正労働契約法の5年超の無期転換ルールの施行を前提にした周知活動を行っていたのだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus