事件・不祥事

山中所長を悩ませる予算不足の現状 論文不正は“研究者の薄給”を放置したツケ (4/9ページ)

 「5年超の有期雇用労働者に無期転換を申込みできる権利」の行使を阻んだのは政府や大学・研究機関だった。そして、それに一枚噛んでいたのがiPS細胞研究所の山中所長自身だったことはあまり知られていない。

 改正労働契約法施行前の2月28日。当日開催された衆参議院表祝行事で山中氏はこう述べていた。

 「(2013年4月1日から施行される改定)労働契約法では、有期雇用は5年までで、次の契約をする場合には無期(労働契約)としなければならないとされている。大学にとっては、10年間プロジェクトならば10年間雇用する予算がつくが、5年間雇用した後、無期で雇用しなければならないとなると5年を超えて雇用することが難しくなってしまうため、優秀な人材が集まらないのではないかと危惧している。実際、問題になるのは5年後かも知れないが、何らかの対策が必要だ」(衆参表祝行事での発言要旨)

 なぜ5年超の無期転換では優秀な人材が集まらなくなるのか。少しわかりづらいので補足しよう。

 大学での研究は、交付金などの公的補助金による期間限定型のプロジェクトが多い。研究者はプロジェクトが終了すると他の大学のプロジェクトで研究活動を続けるが、5年で無期雇用に転換すると、大学はその後も雇い続けなくてはならないが、予算的にそれが難しいので5年を前に雇い止めにするしかない。それでは優秀な人材の確保が難しいというのが山中氏の発言の趣旨だ。

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