事件・不祥事

山中所長を悩ませる予算不足の現状 論文不正は“研究者の薄給”を放置したツケ (2/9ページ)

 ▼山中伸弥所長は捏造の原因や背景に言及していない

 今回、山中所長は潔く謝罪しているが、なぜ助教が論文を捏造したのか、その原因や背景にまでは言及していない。

 原因として、限られた期間と予算で成果を出さなければならない研究者の評価システムの問題を指摘する声がある。また、その背景には若手研究者の不安定な雇用の実態を指摘されている。

 大学などの研究機関の研究者は「任期付き」の研究者が増えている。つまり、研究者という身分でも有期契約労働者なのである。

 2017年度の国立大学の40歳未満の若手教員のうち約64%が任期付きであり、07年度の約39%から大きく増加している。任期付きが、たった10年で30%近くも増えていることには驚かざるをえない。

 優秀な研究者であれば契約を更新し、引き続き雇ってもらえるが、そうでなければ別の職を探さなければならない。ちなみに、捏造した助教も2018年3月末が雇用期限だったと報道されている。成果を出そうと焦って不正に走ったと想像できなくもない。

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