神鋼、三菱マテ… 素材企業不正、現場のムリを常態化させた「ケイレツ」の重圧とは (2/3ページ)

記者会見に臨む神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長(右)=6日、東京都中央区
記者会見に臨む神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長(右)=6日、東京都中央区【拡大】

 慶応大学商学部の菊澤研宗教授は「現場が不正を行うことが合理的という不条理に陥った」と指摘する。素材メーカーは取引先からの要求を拒否して長年培った信頼関係を損ねたり、納期を遅らせて取引先のラインを止めてしまうことはできない。現場がそれを忖度(そんたく)したことで不正が日常化したという見解だ。

 現場で問題が顕在化しているのに、経営の目が現場に行き届かず、自浄作用が働かない構図も透けてみえる。菊澤教授は「風通しのいい組織にして現場のムリを伝えやすくすることが必要だ」と続ける。

 JIS法見直しへ

 「完成品メーカーの過剰品質にも問題がある」。日本能率協会コンサルティングの宗裕二品質革新センター長は警鐘を鳴らす。高品質・低コストを過剰に追求するあまり、素材の現場にひずみが生じたとみる。神戸製鋼は計605社に規格から外れた製品を出荷したが、現時点でほぼ全ての顧客の完成品に安全性の問題はない。裏を返せば、規格にもっと幅を持たせられるのではないか。川崎氏は「顧客の仕様が厳しいのは当然」と過剰品質を否定するが、一方で「適正な品質について議論すべきだ」(宗氏)との声も強まる。

 一連の不正は日本の品質制度が抑止力として機能しなかったことも浮き彫りにする。顧客の承認があれば強度や寸法などが規格外でも出荷できる「特別採用(トクサイ)」は、日本工業規格(JIS)にも定められた商習慣だが、不正の隠れみのになった。

 ブリヂストンの津谷正明最高経営責任者(CEO)は「曖昧さを続けるのは難しい。時間をかけ、一番いい解決法を探る」と述べるなど、新たな物差しを探る動きも出ている。

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