
「地震対策に一刻も早くインプラント堤防を」と話す北村精男社長=高知市の技研製作所【拡大】
いつ起きてもおかしくないとされる首都直下や南海トラフの地震。その対策工事は「待ったなし」だけに、スピード感のある工法はうってつけだという。
大震災後、国交省が策定した「防波堤の耐津波設計ガイドライン」で、検討会座長を務めた高知工科大学長の磯部雅彦は「地震後の津波到達時間が非常に短い静岡などでもインプラント工法を検討する必要がある」と指摘する。
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インプラント工法への注目が高まる中、技研製作所は昨年、創業50年を迎え、同時に東証1部上場を果たした。高知県に本社を置く企業としては3社目、製造業では初である。
上場前、「100億円企業から1兆円企業に」と目標を掲げ、社員を鼓舞した社長の北村精男(あきお)だが、今は「もう言うのはやめた」とする。工法への社会の期待の高まりとともに、関心は国土防災の実現に絞られているようだ。
=敬称略
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首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男氏が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。