【地球を掴め国土を守れ7】技研製作所の51年(7)堤防は生命と財産守る「責任構造物」 (1/2ページ)

創業50年の社史と自らの生い立ちなど様々な事について語る技研製作所・北村精男社長=2月15日午後2時27分、高知市布師田の技研製作所本社(薩摩嘉克撮影)
創業50年の社史と自らの生い立ちなど様々な事について語る技研製作所・北村精男社長=2月15日午後2時27分、高知市布師田の技研製作所本社(薩摩嘉克撮影)【拡大】

 内閣府は平成24年、国内史上最大級のマグニチュード9の地震となった東日本大震災を教訓に、同規模の「南海トラフ巨大地震」の被害想定を公表した。

 「最大死者数32万人」と大震災の16倍に及ぶ衝撃的な数字をマスメディアは驚きをもって報じた。

 津波による死者数だけでも23万人。そして被災想定地域の防波堤は延長417キロのうち135キロがダメージを受けるとした。

 こうした状況下で翌25年、国土交通省が「防波堤の耐津波設計ガイドライン」を策定した。

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 ガイドラインでは、「大震災の死者の9割以上が津波による犠牲者。経済被害も甚大であった」と指摘。その上で、被害のひとつの要因となった「防波堤など港湾構造物の被害」について、「津波の巨大な圧力とともに、津波が防波堤などを越え、その背後で強い流れを生み出し、そのことが、(堤防や防波堤を支える)地盤を洗掘し、安定性を低下させた」と分析した。

 そして、こうした被害の様相について、「防波堤の耐津波設計の考え方を根底から見直させるものであった」とし、今後発生が懸念される南海トラフ地震などの津波対策に触れて、「最低限人命を守るという目標のもとに、変形しつつも倒壊しない粘り強い構造」の実現を求めた。

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 技研製作所の北村精男(あきお)社長は「こうした防波堤、堤防の構造的欠陥は、大震災の何年も前から指摘してきた」と強調する。

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