
あそかライフサービスの本社【拡大】
不正指摘から約1年後の2015年4月以降、本来であれば「六華園」の入居者の一時金はあそか会の口座に入金されるはずが、当社口座に振込まれ、その資金がオーナーの運営する企業に流出していた。
あそか会が仕入れた調剤薬も、あそか会と業者の間に当社が入り、手数料を上乗せしてあそか会から支払いを受けていた。その資金もオーナー運営の企業に流出しており、不透明な資金の流れが一気に表面化した。
◆相次ぐ人員流出で事業縮小
2016年8月31日、現社長の田中ヨウ子氏が就任した。
同年8月期決算は売上高4億9323万円に対し、28万円の当期純損失を計上した。先行きは不透明で業績悪化が続くと従業員の士気は下がり、退職した従業員が立ち上げた介護事業に従業員の流出が相次いだ。
介護事業にとって人員不足は事業運営に直結する。人員が足りない当社は、ほどなく事業規模を縮小せざるを得ない状況に直面した。
田中社長が再建を図る中、2018年1月にあそか会から仮差押決定通知が届いた。
過去の不正に関連するあそか会への債務は、オーナーが対応すると語っていたため、すべてをオーナーに一任していた。そのため、あそか会からの仮差押決定通知書は当社にとり寝耳に水の出来事だった。
人員流出に歯止めが掛からない中、あそか会からの仮差押決定通知書は、事業継続が困難なことを社長だけでなく他の役員も認識せざるを得なかった。