改良を重ね、量産機となったサイレントパイラー【拡大】
無振動・無騒音の杭(くい)打ち機「サイレントパイラー」が、「住民の公害反対パワーに悩む」建設機械業界に衝撃のデビューを果たしたのは昭和51年。翌年には販売が始まった。
サイレントパイラーを開発した高知技研コンサルタント(技研製作所の前身)の社長、北村精男(あきお)が、地中の抵抗力を生かす「圧入原理」を着想し、前例のない無公害杭打ち機実現に乗り出して4年。開発は順調に進んだといえよう。
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しかし、「サイレントパイラーはきわめて手離れのわるい機械」(北村)というように、販売後も修理やメンテナンスが必要だった。また、杭を打つ地盤によっては高度な施工技術が必要であるため、それぞれの現場で、施工者に対してきめ細やかな技術指導や施工法のアドバイスが欠かせなかった。
つまり、ユーザーの会社と技研側が「親戚づきあい」を続けなければならない宿命をもった機械だったのだ。
「杭を打つ地盤が粘土層、バラスやレキ、玉石層ならどう杭を打つのか、地盤の変化や予兆を感じる感性と対応策がないと、サイレントパイラーは用をなさない」(北村)
だからこそ、その後一時的に、建設機械メーカーなどがいっせいに、同様の機械の生産に乗り出そうとしたものの、結局は撤退を余儀なくされた。
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「手離れのわるい機械」の販売が拡大したことで、北村は社内体制の再構築を考え始めた。これまで高知技研コンサルタントがやってきた施工に加え、サイレントパイラーの販売と開発、さらには「圧入原理」の普及活動も行わねばならなかった。