
改良を重ね、量産機となったサイレントパイラー【拡大】
当時を、北村はこう振り返る。「いまからどう頑張っても、三菱重工やトヨタにはなれない。しかし、どこにもない地下に特化した開発型の企業を目指せば、世界的な企業にもなり得る」
そして昭和53年、北村は、サイレントパイラーを製造販売する会社として「技研製作所」を設立し、「高知技研コンサルタント」は施工専門会社とした。さらに、製造の主体は、ともに開発にあたってきた垣内保夫(株式会社垣内の創業者)に託し、技研製作所は製造工場をもたない開発専門の「ファブレスメーカー」の道を選択した。
技研製作所は同年、初の県外拠点として大阪に営業所を開設。そして翌年以降3年間で、東京、仙台、福岡、名古屋へと翼を広げていった。
=敬称略
◇
首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。