
ケンブリッジ大のワインセラー増設工事はBBC放送が放映し話題に。工事は国際学会創設のきっかけとなった【拡大】
技研製作所の無振動・無騒音の杭(くい)打ち機「サイレントパイラー」は、その革新性から、国内外で発表と同時に一定の需要が生まれた。しかし、新規メーカーの市場参入は容易ではなかった。
日本では、建設省(現国土交通省)は昭和50年の開発から11年間、同機を、建設工事の際の“お墨付き”といえる「工事積算基準」の対象としなかった。11年間で販売台数は400台超だったが、対象となってのちの3年間で千台に到達したことをみると、前例踏襲の“お役所仕事”は大きな壁となっていた。
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産業革命から200年近い歴史を有する欧州でも、新規参入の困難さを象徴する出来事があった。技研が昭和58年に欧州に参入し、初めて西独(当時)の見本市に出展。その後、フランスでサイレントパイラーのデモンストレーションを行ったときのことだ。
振動も騒音もなく杭を押し込む様子を見学していた施工技術者らしい男性が烈火のごとく怒り出し、「前日に穴を掘っておいて杭を落とし込んでいるだけだ。俺たちをだますために日本から来たのか」とまくしたてた。技研社長の北村精男(あきお)が通訳を介し「圧入原理」を解説しても、全く聞く耳をもたなかった。