【地球を掴め国土を守れ】技研製作所の51年(29)企業目標に天井をつくらず (1/2ページ)

整然とした工場内で作業する社員。創業以来死亡事故ゼロを達成している=高知市の技研製作所本社
整然とした工場内で作業する社員。創業以来死亡事故ゼロを達成している=高知市の技研製作所本社【拡大】

 技研製作所の看板はもちろん、無振動・無騒音の杭(くい)打ち機「サイレントパイラー」と、その機能をフルに生かした数々の独創的な工法である。加えて、社長の北村精男(あきお)が挙げるのが「創業51年間で死亡事故ゼロ」の実績。背景には、経営哲学「環境整備」「人と機械の融合」がある。

 「環境整備」とは、事故防止のための整理整頓の徹底だ。同社の事務所も工場も、その明るさ、定規で測ったような整然さに目を見張る。

 また「人と機械の融合」は、機械を扱う企業として「道具や機械は人間の体の延長だ」という考え方だ。丁寧な作業の心がけと同時に「機械を設計、製造した人の機械への愛着を思い、機械への感謝の念を失うな」と、北村は言う。

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 この北村の経営哲学には、約60年間におよぶ建設機械のエンジニアとしてのプライドが凝縮されている。

 高校を卒業し就いた建設機械のオペレーターの仕事は昭和30年当時、高知の人々には「飛行機のパイロットと同じ」と映るほど花形の職業だったという。北村は、職場で出会った「実直で知識豊富」な“師匠”たちから多くのことを学んだ。その教えを胸に、独立後、サイレントパイラーをゼロから生み出し、ひとつひとつ改良を重ね、国内外に普及させていった。

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