ところが2000年を境にスター選手の離脱、引退が相次ぎ、興行収入が大きく落ち込んだ。そこにPRIDEなどの総合格闘技ブームが若いプロレスファンを侵食。プロレスラーが総合格闘技で敗戦する屈辱もあり、入場者の減少に拍車をかけた。
人気に陰りがみえるとテレビ放映もゴールデンタイムから土曜日の夕方、そして深夜帯に移動していった。
◆ユークス支援で1円からコスト削減
新日本(以下、新日本)の2005年の売上高は13億円にまで落ち込んだ。苦境に陥った新日本を2005年11月、JASDAQ上場のユークス(大阪)が子会社化した。
テコ入れ策の第一弾は企業では当たり前のコスト改善策だった。
(1)1円でも社長の決裁ルールを設定
(2)相見積もりの導入
(3)予算を立て毎月の予実管理
(4)営業所の削減など財務リストラ
人気プロレスラーの棚橋弘至など選手も、営業やプロモーション活動に奔走し業績回復に向けて耐えた。
コスト圧迫のネックだった大規模会場での開催を止め、中小規模の会場を中心にした興行に切り替えるなど、利益重視の経営に変貌していった。
◆ブシロード傘下へ 「プ女子」と外国人ファン急増
コスト意識が浸透するなか、2012年1月にブシロード(東京、当時ブシロードグループパブリッシング、後にブシロードが吸収)がユークスの保有する新日本の株式を取得し、傘下に収めた。
経営改善のためブシロードが支援を強化する一方、株主のテレビ朝日、大手芸能プロダクションのアミューズは新日本所属のプロレスラーのテレビ出演に協力を惜しまなかった。こうしてプロレスラーの知名度が高まると、女性ファンが急増した。“プ女子”という言葉まで登場し、今では観客の3割~4割が女性客という。