アニメ業界は二極化が加速 市場活況も「現場」はブラック 進まぬ利益還元 (3/4ページ)

 88社の従業員数別では、最多が10人以上50人未満の33社(構成比37.5%)だった。また、5人未満が22社(同25.0%)で、4社に1社が小規模な企業であることがわかった。

 相次ぐ映画のヒットで活況をみせるアニメーション業界。アニメーション映画の制作には多額の費用を要し、多くはテレビ局など複数企業が出資した製作委員会を立ち上げる方式をとっている。この製作委員会が制作会社に委託し、アニメ制作会社は下請けの形で制作が進むことになる。

 ただ、作品の権利、版権は製作委員会が持ち、関連利益は製作委員会に出資した企業に分配される。このため、作品がヒットしても実際の制作現場には、利益がなかなか還元されない構造になっていると指摘されている。

アニメーション制作業88社の対前年増減益別

アニメーション制作業88社の対前年増減益別

 2018年1-7月のアニメーション制作業の倒産は2件(前年同期1件)発生している。今後も親会社等の動向次第で影響を受けるケースが多くなりそうだ。

◆著名作品手掛けた制作会社が倒産

 2018年のアニメ業界の倒産事例では、アニメーション制作のアジアアニメーションパートナーズ(東京都、資本金1000万円)が6月6日、東京地裁に破産を申請した。負債総額は1600万円。

 同社は、テレビアニメ「銀河鉄道物語 THE GALAXY RAILWAYS」や「なるたる」を手掛けたアニメ制作会社の関連会社として設立。親会社が手がける作品のエフェクトや撮影工程等を受け持っていたが、親会社が一部事業を他社に譲渡して事業停止したことで、先行きの見通し難から破産を申請した。

低賃金と長時間労働が常態化