ダムや高速道路、橋などの公共施設を巡る「インフラツーリズム」が、外国人観光客から注目を集めている。もともと国内向けに開放されていたが、たまたま訪れた外国人客が撮影した画像がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で国境を越えて拡散し、彼らの新たな旅行候補地となった。政府も有力な観光資源とみて、取り込みに本腰を入れている。(秋山紀浩)
「インターネットや友達からの紹介で訪ねてみたが、想像を超える大きさで驚いた。これほど長いつり橋は地元にないので、とても感激しました」
淡路島と神戸を結ぶ世界最大のつり橋、明石海峡大橋(全長3911メートル)を支える主塔(約300メートル)の頂上からの景色や管理通路などを見学できるツアー「ブリッジワールド」に参加した香港人のフォン・シレンさん(60)は満面の笑みを浮かべた。この日午前のツアー参加者は計42人。このうち、8人は外国人観光客が占めた。
平成17年のツアー開始当初、海外からの見学者は1%にも満たなかったが、昨年は約1万2千人のうち約20%を外国人観光客が占めた。特に多いのは台湾や香港からの観光客で、主催する本州四国連絡高速道路の担当者は「兵庫、大阪からの観光客の次に台湾が多い」と話す。