--こうしたポイントを踏まえたうえで、取り組みを進めるにはどうすればいいのでしょうか。
「地域のために当事者意識を持って実際に企画・実践できる地域の人材こそ、地方創生の原動力です。SDGsの基盤の一つに“パートナーシップ”があります。自治体の役割は、多様な地域人材とパートナーシップを構築し、SDGs達成に向けて地域関係者をコーディネートする方向にシフトすることです」
「地方の市町村ほど人口減少が進行しており、行政主導の限界に気づかなければなりません。一方で、早くから危機を自覚し、対策を講じた小規模自治体は、課題解決の先進地になる可能性があるともいえます。小規模自治体から学ぶことが地域づくりのトレンドになり、国・都市・農山漁村のヒエラルキーが逆向きになる時代を迎えると信じています」
北海道ニセコ町の事例
昨年12月には「第1回ジャパンSDGsアワード」の表彰式が行われ、SDGs推進本部長(首相)賞に北海道下川町、特別賞に北九州市が選ばれました。下川町は人口約3400人、高齢化が進む小規模自治体です。地域の人材と資源を活用し、毎年50ヘクタールの植林と伐採を60年のサイクルで繰り返し、持続可能な森林経営を行っていることが高く評価されました。木質バイオマス資源を活用した熱供給システムを核にしたコンパクトタウン化を推進しています。北九州市は、市の施策をSDGsの視点から捉え直したことが評価されました。多様な人材が活動し、市はSDGs関連事業に財政的、制度的支援を行っています。
内閣府地方創生推進室は今年6月15日、SDGs達成に向けた優れた取り組みを提案する29都市を「SDGs未来都市」として選定しました。特に先導的な取り組みである10事業を「自治体SDGsモデル事業」に選定しています。モデル事業に選定されたのは、北海道ニセコ町、下川町、神奈川県、横浜市、鎌倉市、富山市、岡山県真庭市、北九州市、長崎県壱岐市、熊本県小国町です。