【高論卓説】既成事実となった憲法改正 「自衛隊明記」 先の議論の道筋不可欠 (1/2ページ)

 安倍晋三自民党総裁の最後の任期となる3期目は、内閣改造・党役員人事を見ても、憲法改正に向けてのプロセスが、急速に進んでいくのは確実であろう。

 特に党役員人事では「お友達」重用という批判も、ものともせず、安倍首相の考えと全く重なる面々で固めた。

 閣僚人事は、まるで「在庫一斉セール」のように、入閣待機組に恩を売り、今後、閣内不一致が起こらないようにする意図は明らかだ。

 そもそも、大臣ポスト目当てで、総裁選で支持をした方からすれば、当然の「報い」と思っているだろう。

 いずれにしても、憲法改正を実現するための、首相の3期目の政権運営が始まったということだ。

 憲法改正の必要性については、私も同じ考えである。しかし、何のために改正するのかということは、首相の考えとは、もともと違うとは思わないが、自民党が提示する改正4項目を見ると、残念ながら、今は違うと思わざるを得ない。

 憲法にせよ、法律にせよ、理由があるから改正するのである。では、首相が主張する、自衛隊を憲法に明記するという改憲の理由は何か。

 それは約4割の憲法学者が自衛隊は違憲であると言っていることから、(1)自衛隊は合憲か違憲かという神学論争に終止符を打つ(2)自衛隊員の家族、とりわけ子供がいじめに遭っていることから、それを止めさせなければならない-という2点である。

 (1)については、法律家に聞いてみると、特に若手の憲法学者には、根っからの違憲論者は少ないという。(2)の「いじめ問題」は、学校・教育委員会は報告を受け、その対応をしているのだろうか。首相が直接、取り上げるほどであるのなら、事態は相当深刻なはずだ。

 当該の子供たちは大丈夫であろうか。これらを考えると首相の改憲、とりわけ9条改正の理由を、まっとうな理由として成立させるには、多少無理がある。

続きを読む