「うっかり」では済まされない…年2000億、“無断キャンセル被害”の深刻度 (2/4ページ)

 飲食店向けの予約台帳「トレタ」に蓄積された予約データを分析すると、予約全体の0.9%が無断キャンセルに当たる。割合としてさほど大きくないと思われるかもしれないが、無断キャンセルで発生した損失は通常の営業ではカバーしにくい。

無断キャンセルによる被害例

無断キャンセルによる被害例

 外食業界は他業界に比べ、雇用を多く生み出しているが、その一方で人手に頼る労働集約型産業で生産性が低い。また家族経営など小規模事業者も多く、ITシステムなどの導入が進みづらい。多くの事業者は無断キャンセル対策の必要性を感じつつも、対策を取れずにいる。

雇用を生み出す一方で労働集約型な外食産業

雇用を生み出す一方で労働集約型な外食産業

 飲食店側にもできることがある

 対策レポートの発表を受け、「飲食×IT」領域の企業5社(favy、ブライトテーブル、ポケットメニュー、USEN Media、トレタ)が集まり、「無断キャンセル対策推進協議会(以下、協議会)」を設立した。

 無断キャンセルを減らすためには、消費者のマナーに求めるだけでなく、飲食店側にできることもたくさんある。協議会では、啓発活動に加えて、ツールや仕組みを提供して無断キャンセルがなくなるようにサポートして行く考えだ。

 すでに5社ともに、無断キャンセルの防止や万が一発生した場合のさまざまなサービスを提供している。

 一例を挙げると、飲食店予約サービスの利用者に対して、メールやショートメッセージサービス(SMS)、アプリのプッシュ通知などで予約日時をリマインドする機能を各社が提供中だ。favyとトレタでは、SMSを活用し、飲食店と予約客との間で予約内容やキャンセルポリシーの合意を取り付けることのできるアプリを新たに提供開始した。

 ポケットメニューでは、万が一無断キャンセルが発生した場合、その席を買い取ってクレジットカード会員に向けて再販する仕組みを提供している。飲食店予約代行のブライトテーブルでは、予約代行の依頼者が無断キャンセルをした場合、飲食店と依頼者の間に入ってヒアリングを行う。トレタでは、弁護士などの専門家のサポートもスタートした。

協議会に加盟する各社の無断キャンセル対策

協議会に加盟する各社の無断キャンセル対策

 無断キャンセルはSNSの普及で可視化された

 協議会を設立してから、無断キャンセルが増えているのかと質問を受けるようになった。筆者自身も、SNSで無断キャンセル問題を目にする機会が多くなったと感じており、店主が悪質な無断キャンセルを嘆いたり、「許せない!」「悪質だ」と声を上げ、その内容が拡がっている様子をたびたび目にする。

裁判になり飲食店が勝訴したことも