【経済インサイド】豚コレラでのワクチン接種、慎重にならざるをえない理由 (1/3ページ)

相次いで豚コレラが発生した愛知県田原市の養豚場周辺から作業に向かう防護服の陸上自衛隊員ら=2月15日午後
相次いで豚コレラが発生した愛知県田原市の養豚場周辺から作業に向かう防護服の陸上自衛隊員ら=2月15日午後【拡大】

 昨年9月に国内で発生した家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染拡大に歯止めがかからない。政府は、卸価格への影響がないかを注視するとともに、国産全ての豚に対してワクチン接種が必要かどうかを見極めている。ただ、ワクチン接種となれば輸出にも影響するだけに、政府は「慎重に判断する」との認識を崩していない。

 2月20日に豚コレラ感染を相次いで確認した愛知県田原市の農家密集地「養豚団地」などで、全約1万7千頭の殺処分を完了したなど、岐阜、長野、滋賀、大阪の5府県で計10例、殺処分の総数は4万7千頭超となった。

 豚コレラの感染拡大で、豚肉の価格上昇や供給減少への警戒感が出始めた。全国の主要頭数が900万頭いることを考えれば、殺処分対象の豚は全体の0.5%にすぎない。「需要に大きな影響はない」と、農林水産省は強調するが、流通量が下がれば、価格上昇を招きかねない。

 すでに名古屋市場では年初に比べ、1~2割ほど高く推移。「年末に比べて上がるのは例年通り」との見方もあるが、豚コレラの影響も否定できないという。小売店では目立った値上がりはないものの、流通業界からは今後の相場上昇による“豚肉離れ”を心配する声も出ている。

 一方、風評被害を恐れる発生地周辺の養豚農家からは、被害拡大を防ぐためにも一刻も早い豚へのワクチン接種を実施すべきだとの声が上がっている。

 だが、農水省は、ワクチン接種に対しては、養豚農家の衛生管理体制がずさんになることに加え、豚肉の輸出に影響が出ることを危惧する。

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