安く低カロリー、鶏むね肉に注目 お手軽調理に需要、レシピ検索急上昇

 
特別セールの鶏むね肉が並ぶスーパー売り場=5月1日、神奈川県茅ケ崎市

 ■ヘルシー食品

 鶏むね肉の人気が上昇中だ。火を通すとぱさつきやすいとして敬遠されがちだったが、もも肉より脂肪が少なくヘルシー。しかも値段も安い。食品メーカーが、むね肉を簡単にやわらかく調理できる商品を売り出したり、インターネットのサイトにむね肉をおいしく食べられるレシピが数多く登場したり、食材としての注目度が高まっている。

 味の素が「お肉やわらかの素」を発売したのは今年2月。独自の技術で開発した酵素とでんぷんが主な成分。肉に振りかけて5分置いておくと、酵素が肉の繊維をほぐし、でんぷんが肉汁を中に閉じ込めるので、火を通したときにやわらかくジューシーに仕上がる。

 家庭用事業部の小川聡専任課長は「肉の調理に関する悩みの1位はかたくなること。いろんな肉をやわらかくできる調味料を開発するのが狙いだった」と話す。家庭の主婦らの意見を聞くと、ヘルシーで安い鶏むね肉を使いたいと考えている人が多いことが分かり、むね肉を前面に出した販売促進を展開。売り上げは順調という。

 レシピサイトのクックパッドでも、鶏むね肉を使ったレシピの検索や投稿が、この3年ほどで大きく伸びている。今年に入ってからの肉の部位をキーワードにしたレシピ検索件数は「鶏むね肉」が「鶏もも肉」や「豚バラ肉」などを大きく上回り、圧倒的に多いという。

 「安いということに加えて、健康的なダイエットのために高タンパク、低カロリーの食事がいいという知識が広がったのが、鶏むね肉人気の要因の一つ」と草深由有子編集長。「ぱさつかない調理のこつを知りたい人が多いので検索が増えている」とみている。