働き方改革めぐり不協和音懸念 安倍内閣、具体化への道筋不透明

 
第3次安倍再改造内閣が発足し、記者会見する安倍首相=3日、首相官邸

 安倍晋三首相が内閣改造の目玉として打ち出した「働き方改革」。首相は1億総活躍社会実現のための「最大のチャレンジ」と位置付けた。だが、政府内からは戸惑いや、閣内の不協和音を懸念する声も出ており、具体化への道筋は見通せていない。

 広がる戸惑い

 「非正規という言葉をこの国から一掃する」。3日の組閣後の会見で、首相はパートなど非正規労働者の待遇改善を明言した。個人消費を拡大し、名目国内総生産600兆円を達成する狙いだ。再任した塩崎恭久厚生労働相に渡した指示書でも「働き方改革を断行する」と強い言葉を使った。

 総務省によると、6月時点の非正規労働者は2016万人。前年同月比で7カ月連続で増え、働く人の37.4%を占める。厚労省の資料では、先進国の正社員に対するパート労働者の時給はフランス89.1%、ドイツ79.3%、英国70.8%に対し、日本は56.8%にとどまり格差が大きい。首相は不合理な格差をなくす「同一労働同一賃金」を実現するため、年内に指針をまとめる方針だ。人口減少が続く中、女性や高齢者の就労を促進するため、長時間労働の是正やテレワークなど柔軟な働き方を推進する実行計画の年度内策定も指示した。

 「一体、何をするのか分からない」。政府内には戸惑いが広がる。首相が掲げた課題は、6月に閣議決定した1億総活躍プランで盛り込まれた項目ばかり。首相があたかも新しい施策であるかのように打ち出した意図を測りかねているからだ。

 実行計画は政府に新設する「実現会議」が策定の舞台に。厚労省幹部は「まるで厚労省では改革できないと言われたようだ」と不満げ。別の政府関係者は「本腰を入れて改革するなら年単位の時間が必要だが、次の選挙向けのアドバルーンだ」と皮肉った。

 加藤勝信・働き方改革担当相と塩崎氏との不協和音を懸念する声も上がる。労働政策の所管大臣は塩崎氏だが実行計画を作る「実現会議」は加藤氏の下に。両氏は連携を強調しているものの、1億プラン策定に関わった幹部は「どちらが主導権を取るか調整が大変だった」と打ち明ける。

 準備不足あらわ

 改革をめぐるキーワードも方向感が食い違う。塩崎氏は「生産性の向上」を強調し、人口減社会での経済の活性化に力点を置く。「中間層の厚みを増す」と就任時に語った加藤氏は所得格差の是正が主眼だ。

 働き方改革の事務体制は整っておらず、「実現会議」の構成メンバーも固まっていない。首相の意気込みとは裏腹に準備不足があらわになっている。