
自民党本部で開かれた会合であいさつする稲田政調会長(奥)=28日、東京・永田町【拡大】
政府・与党が28日に取りまとめた経済対策は事業費28兆円超で、リーマン・ショック後に、麻生太郎政権が打ち出した対策などに次ぐ規模だ。政策を総動員し、「デフレからの脱出速度を最大限引き上げる」とする、安倍晋三首相の意向を反映した。
ただ、財源不足で国の支出が限られる中、国の信用で借りた資金を貸し出す財政投融資などで“大型”を演出した側面もある。
経済対策の事業費は、国や地方自治体の支出だけでなく、政府系金融機関の融資や、事業に伴う企業の負担なども含まれる。
今回、対策を策定するにあたって課題となったのが財源だ。昨年度の国の剰余金は約2500億円にとどまり、低金利で国債の利払い費が軽減される分などを足しても捻出できる額が限られていた。
そこで目をつけたのが、財政投融資だ。政府が国債の一種の財投債を発行して調達した資金を元に民間に投融資する仕組みで、貸したお金は返済される前提のため、財政の健全性を示す基礎的財政収支に影響しない。結果的に、事業費のうち6兆円程度を財政投融資が占める見通しだ。
一方、国と地方の支出は6兆円超になる見込み。ただ、2016年度第2補正予算案に計上するのは2兆~3兆円となる見込みで、17年度予算などで手当てする事業なども対策に盛り込むことで額を膨らませている。結果的に、事業費は13年の経済対策(約20兆円)を上回ったが、国の支出(約10兆円)は下回った。