越乃Shu*Kura(こしのしゅくら)(3)次こそ乗りたい! あこがれの“1号車”
江藤詩文の世界鉄道旅・夏休み特別企画酒呑みのための天国列車『越乃Shu*Kura』は、3両編成で運行されている。
1号車は定員34名で『びゅう』旅行商品専用車両になっている。シートタイプは、広めのテーブルを囲んで2席ずつが向かい合った、グループにおすすめの「らくらくボックスシート」、海が見える側の大きな窓の正面に配されたカウンターとベンチシートで、他の乗客が気にならないためカップルにぴったりの「展望ペアシート」、展望ペアシートの乗客越しに車窓を見ることになるけれど、パーテーションで仕切られてプライベート感があり、ソファでゆったりくつろげる「くつろぎペアシート」の3タイプで構成されている。 2号車はイベントスペースとサービスカウンター「蔵守~Kuramori~」。イベントスペースには酒樽がモチーフのスタンディングテーブルがあり、地元・新潟で活躍するミュージシャンによるライブ演奏や、蔵元によるテイスティングサービスといったイベントが開催される。
3号車は定員36名。乗車券と指定席料金520円のみで乗車できる。通路を挟んでリクライニングシートが2席ずつ並んでいて、自由にくつろげる8人用のフリースペースもある。指定席券は空席があれば当日でも購入できる。
ちなみに1号車でも3号車でも、ゲストは利き酒をしたり、音楽に合わせてリズムを取ったり、杯を片手に乗客同士で談笑したり、同乗してくれた蔵元と酒談義に興じたり、お土産を買ったり酒を補充したり、乗車時間の大半を2号車で過ごす。その意味では3号車でじゅうぶんだと思いきや、1号車にはさまざまなアドバンテージがあった。とりわけ私が心惹かれたのは、1号車だけに提供されるオリジナルメニュー「水と大地の贈り物」だ。私が乗車した十日町駅行きでは「Echigo-Breakfast」つまり“朝食”とうたいながら、魚の漬け焼きだのぬか漬けだの、酒のアテとしか思えない小鉢が詰め合わせられている。この春から、日本酒を楽しむ女性のコミュニティ「にいがた美醸」がメニュー開発をサポートしているそうだ。
“朝食”ながら越乃Shu*Kuraオリジナルラベルの大吟醸酒のミニボトルまでつき、巾着つきのロゴ入りおちょこ(持ち帰り可)も用意され、このおちょこで蔵元の酒を試飲することもできる。
アルコールが苦手な乗客には、地元の「雪下にんじんジュース」と「レルヒさんサイダー」が用意されるが、さすが酒呑み列車、この日ノンアルコールを選んだのは、オーストラリアのシドニーから来た女性ただひとり。日本に新婚旅行に来ていて、奥様が妊娠中にも関わらず、大の日本酒党のご主人が「どうしても乗りたい」と、乗車を強行したそうだ。
「こんなお父さんだもの、生まれてくる子は男でも女でもきっと酒呑みね」。いっそ“サケ”と名付けようかしら。彼女はそう言って肩をすくめた。
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら
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