ちょっと前の話だ。イタリア中、どこにでもありそうな話だ。親は息子の翻意に努力し、かつ嫁を守ることを宣言した。「家族を守る」ことに執念を燃やす。そしてユーモアも失っていない。まるでイタリア人のメンタリティを描いた映画『ゴッドファーザー』のようだ。
さて、このライフスタイルはいつまで続くのだろう。
北ヨーロッパと比べ南ヨーロッパは成人した子供の親との同居率が高い。何かと親の力を頼ることも多い。「自立していない」と批判的にみることもできる。しかしながら、家族の絆の強さが、吹き荒れる経済環境から身を守る「最後の砦」になっている。
マフィアとは悪の温床となる組織を指すだけではなく、その精神性を意味することが多い。身近にいる人間関係を優先し、またそれに頼る。起業しても一気にほかの土地に大きく打って出るより、自らの地域で堅実に地固めする。
地縁が重んじられるから、都会の大学を出た優秀な若者も出身地に戻るのが珍しくない。「生活の質が田舎の方が高い」とUターンを賛美する。だがこの現象は、実は枠に閉じこもる性格と表裏一体なのである。
こうして革新を生みづらい土壌を作ってきたイタリアだが、それゆえに苦境の中でもサバイバルが可能になる。