60歳以上の常用労働者の推移【拡大】
実際、NTTグループは定年後に65歳まで働く継続雇用者の賃金の原資を捻出するため、40代の賃金上昇を抑制する方向で労組と調整中だ。能力に応じた賃金体系も取り入れるが、構成比が大きいバブル世代の賃金削減が図られる。
一方、すでに19年から定年を65歳に引き上げているイオンは、年功序列ではなく成果主義に基づく給与体系を設定済み。
トヨタ自動車は60歳定年後の再雇用者を対象に、1人当たりの労働時間を半分に短縮する「ハーフタイム勤務」の導入を検討するなど、各企業ともシニア世代の人件費増を吸収するのに四苦八苦している。
こうした企業の状況について、労働政策研究・研修機構の梅沢真一統括研究員は、「企業は今後、高齢者雇用が負担になれば新規採用抑制や中堅社員の賃金抑制のどれかを選択せざるを得なくなる」と危惧する。
非正規と正規の社員間の待遇格差がクローズアップされてきた春闘だが、今後は賃金配分をめぐる世代間の攻防が激化しそうだ。(比護義則)