厚遇消えて強権残る?
正社員の終身雇用・年功賃金という大きな見返りと引き換えに、企業側に国際的にみても非常に強い命令権を許す「御恩と奉公」の戦後日本的労使関係は、長期不況下の人件費削減で労働者の身分保障や待遇は失われていった一方で、企業側の強い命令権はそのままの形で残った。これがブラック企業発生の一つの要因だと濱口氏は指摘する。
「『ブラックでも終身雇用』が『ただのブラック』になってしまった」(ツイッターから)。理想化されがちな旧来の日本型雇用システム自体に、ブラック企業化の素因が内包されていたという指摘は皮肉だ。
ブラック企業批判に対しては、「若者の甘えでは」「俺も昔は苦労を…」といった年配世代の声も聞かれる。
だが、「昔からブラック的な労働環境は多かったが、あくまで終身雇用と年功序列で将来の安定した生活が約束されていたから耐えていただけで、今のブラック企業は使い捨て前提でしかも労働環境は昔以上にブラック」(匿名掲示板)。雇用関係の構造変化を押さえない議論では、非生産的な根性論で終わってしまうだろう。