24時間の見守りは不可能 新たなシステムづくり必要
判決は、在宅介護を支える人々に衝撃を与えた。全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田國夫医師は「認知症の人の判断能力はその時々で変わるので、譫妄(せんもう)に基づいた徘徊(はいかい)なのか、判断能力があるのにたまたま線路に出たのかは医学的にも判断できず、法律で問うこと自体に限界がある。24時間の見守りは、自宅介護の場合だけでなく、グループホームや施設でもできない。それを求めれば、拘束したり閉じ込めたりになりかねず、人権侵害につながる」と指摘する。
「釧路地区障害老人を支える会(たんぽぽの会)」の岩渕雅子会長も「介護に携わっていなかった親族は責任を問われず、介護した家族が責任を問われるのでは誰も介護をしなくなる。認知症の人が外に出ないように、家族が外から五寸くぎを打ち付けて介護していた時代に戻ったら困る」と言う。
北海道釧路市では20年前から、行方不明の認知症の人を地域ぐるみで捜索・保護するネットワークをつくってきた。今は行方不明者が出ると、警察が保健所や福祉事業所、連合町内会やラジオ局、ハイヤー協会、トラック協会など約360団体に呼び掛け、地域ぐるみで捜す。