【父の教え】
せっけん成分だけの無添加せっけんを作り続ける「シャボン玉石けん」(北九州市若松区)。社長の森田隼人さん(37)の父、光●さんが製造に乗り出し、苦労しながら販売を拡大してきた。その姿に、森田さんは物心つく頃から跡を継ぐことを決めていた。
森田さんが生まれる2年前、光●さんは長年続けてきた合成洗剤事業から撤退。香料や着色料、酸化防止剤などを一切含まない無添加せっけんの製造・販売へ切り替えた。「人と地球に優しいものを作りたい」という信念を抱いたためだ。
家では頭や顔、体などを自社の無添加せっけんで洗っていた。「色も、香りも、キャラクターも付いていない、ただの白いせっけん。『変なせっけんだな』と感じていた」というのが子供時代の思い出。ただ、サッパリする使い心地は気に入っていた。
家ではあまり仕事の話をしなかったという光●さんだが、新事業が軌道に乗るまでに長い時間を要した。知名度不足もあり、売り上げは100分の1に激減。その後、17年間も赤字が続いた。