■ヨーグルト NK細胞を活性化、インフルエンザに効く
NK活性を上げるには体に良いものを多く食べ、悪いものは排除するといった食生活も大切だ。ヨーグルト、納豆、シイタケなど、ある種の生きた細菌や菌体の摂取は健康を増進し、多くの疾患へのリスクを減らすのではないかと考えられてきた。中でも生きた微生物であるプロバイオティックスは、適当量摂取することで、腸内環境を改善し健康によい効果があることがわかってきた。
おなかの中というのは、血液が流れる体内とは異なり皮膚や髪のように表面的なものだ。それでも乳酸菌の飲用でNK活性が上がるのは、腸内免疫系を刺激するからだ。そのしくみは、特定の乳酸菌から作られるEPS(多糖体)が腸管にあるM細胞を通ることで、樹状細胞(マクロファージ)を介してNK細胞に働きかけ、NK活性が上がるのではないか考えられている。
先ほども述べたようにNK活性が上がれば自然免疫力がアップし、病気にかかりにくく、もしかかっても治癒しやすい体になるわけだ。そこで、ひとつのデータに注目したい。
2010年9月から11年3月まで、佐賀県有田町で健康増進活動の一環として、約2000人の小中学生が約半年間、「R-1乳酸菌」を使用したヨーグルトを毎日飲み続けたところ、周辺地区と比較してインフルエンザ累積感染率が10分の1程度に激減したのだ。この期間の佐賀県全体の小学生のインフルエンザ(A、B、新型)感染率が4.37%であったのに対しても、有田町では0.64%にとどまった。
また、中学生では、佐賀県全体が2.57%に対し、0.31%とやはり低い水準に抑えられている。
「R-1乳酸菌」を使用したヨーグルトは、全般的なインフルエンザウイルス感染に対する予防効果がある可能性が示唆されたわけだ。
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