介護生活をやりきれたと思えるのは母のおかげです。
がんの末期に母は人工肛門の手術をしたんですが、初めてうんちが出てきたとき、「ほら、ほら」って私を呼ぶんです。普通は人工肛門を着けたら落ち込むと思うんですが、そんな様子をみじんも見せない。「お母さん、すごい」と思いました。完敗ですよね。
母は、障害者になったこともがんになったことも受け入れ、最期まで笑顔でいてくれた。自分の状況を嘆いたり怒ったりしたこともありません。支えていたつもりが、母に支えられ励まされていました。「この母のためなら」。そんな思いでいっぱいでした。本当に感謝しています。
母と過ごした10年間は気づきや学びがたくさんありました。20年一緒にいたら、20年分の学びや気づきがあったはず…。もっと、母とずっと一緒にいたかったです。
【プロフィル】町亞聖
まち・あせい 昭和46年、埼玉県生まれ。立教大卒業後、平成7年に日本テレビ入社。アナウンサーとしてさまざまな番組を経験後、報道部で記者として厚生労働省などを担当。番組アシスタントプロデューサーも務めた。23年にフリーアナウンサーに転身。MXTVの「5時に夢中!」のメーンMCなどを務める。著著に『十年介護』(小学館)。