永源寺地区は人口約6千人で高齢化率は約30%(全国平均24・1%)。花戸医師はこの地域で約80人の在宅患者を持つ。在宅看取(みと)りが増えたのは、着任から5年目くらい。患者の葬儀で「家で亡くならはったんよ」と話題になり、地域に「家で死ぬことができるんだ」と、驚きと実感が広がったらしい。葬儀後、聞きつけたおばあちゃんたちが紹介状持参で次々に診療所にやってきた。
「病院に行って最後まで治療するよりも、ここで生活を継続したいという願いが強い。僕はそれを聞いて、なるべく意に沿うようにするだけです」(花戸医師)
隙間を埋める
多世代同居もあるが、老老や独居の世帯も多い。家で暮らし続けるには、医療職や介護職だけでは手が足りない。「隙間」を埋めるのが、ご近所さんや家族。さらに、花戸医師は「ひ孫さんや犬も『チーム永源寺』の一員」と考えている。愛犬との散歩が日課の認知症の人もいれば、ひ孫が生まれて俄然(がぜん)、元気になった人もいるからだ。