なんとなく皆と同じじゃなきゃダメという圧力のようなものがあるこの社会では、見た目分かりにくいマイノリティーの人が正直に、自然体に、自分らしく生きようとするとさまざまな壁に突き当たる。なので彼らは、人生の早い段階から自分を深く見つめることができ、社会の未熟な部分にも気づけるポテンシャルの持ち主なのだ。
マイノリティーという側面からと、元被虐待児という側面からとも向き合っているこの本は、セクシュアリティーに関する問題を越えて、「家族とは?」「愛するとは?」「命を育むとは?」という普遍的で大切な問いへとつながる。
まずコミックエッセー『レズビアン的結婚生活』(イースト・プレス)を読んでからこの本へと読み進めることをおすすめしたい。両本とも静かなる問題作だ。(イースト・プレス・1365円)
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【プロフィル】東ちづる
あずま・ちづる 情報番組「ワイド!スクランブル」に出演中。一昨年、まぜこぜの社会を目指す一般社団法人「Get in touch」設立。