ガレキやゴミだらけの線路の上を、やせた少年がはだしで走り寄ってきた。ダッカから延びた線路沿いには、スラムが何キロにもわたって続いている。彼はそこから来たのだろう。にっこりと大きく笑って手を振ると、あっという間に走り去り車両の屋根によじのぼる。上で待っていた年かさの少年が、屋根を器用に伝って来て彼に手を貸す。
屋根の上に少年たちをのせた列車は、ゆっくりと動き出した。後方車両へ、またその後方車両へ。移動しながら、彼らはいつまでも手を降り続けていた。
■取材協力:Bangladesh Tourism Board
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。