永谷さん夫婦はいずれも地方出身で、頼れる親族は近くにいない。自治体が運営する会員組織のファミリー・サポート・センター(ファミサポ)に登録しているが、預かってくれる会員の都合がつかない場合がある。シッター派遣の契約は初対面の人が来る可能性があっても外せない。
シッターは保育士のような国家資格を必要とせず、シッター派遣事業者が加盟する全国保育サービス協会(東京都新宿区)などが研修や資格認定を行い、質の向上を図っている。大都市圏では多数の事業者があるが、利用経験のある親は「経験豊かなシッターは新年度が始まる前に契約で埋まる傾向がある」と指摘する。都内の会社員、武部加代子さん(43)=仮名=もその一人だ。
「保育の専門学校を出たばかりの、慣れていない人が来たことがあります。資格があれば安心というわけではないようです」
育児休業明けで職場復帰したものの、残業や出張などのため、保育所だけでは足りず、シッターを探した。複数の派遣業者に問い合わせても「いつも同じシッターを派遣できるとは限らない」。結局、シルバー人材センターに登録していた高齢の独居女性に約7年間、長女を見てもらった。