技能実習制度は日本の技術を海外に移転する狙いがある。だが「下請け企業が低いコストで外国人を活用している」(業界団体)との指摘も少なくない。研修生が帰国後はより待遇のよい仕事に転職する例もあり、制度は半ば形骸化している。
それでも産業界に外国人活用を期待する声はある。ヤマト運輸の山内雅喜社長は「仕組みとして外国人の働ける場所を作っていかないと、日本を成長させるインフラの機能が果たせない」と話す。
4日の経済財政諮問会議では、技能実習制度の抜本的な見直しや、新たな就労制度の創設を検討する方向が示された。一定期間で帰国することを前提に、条件付きで単純労働者を受け入れる可能性も出てきた。
建設業の緊急対策は新興国への技術移転を前提としないモデルケースとして注目を集める。日本総研の山田久チーフエコノミストは「外国人活用は日本人で充足できない職種に限り、不足分を外国人で埋める影響を最小限に抑えるようチェックする、欧米主要国が導入する『労働市場テスト』の導入が有効」と話している。(藤沢志穂子)