しかし、薬草栽培の難しさや、後継者難の問題が行く手に立ちはだかる。
カンゾウやシャクヤク、トウキなどの栽培は、採集や花の摘み取りなどに手間がかかり、経験や独特のノウハウが必要だが、言葉や文章だけでは十分に伝わらない。阪大総合学術博物館の研究支援推進員、伊藤謙さん(薬学博士)は「薬草栽培の業界は少子高齢化と薬価の低下で、後継者の確保が難しくなっている」と指摘。国内生産を増やすために必要なノウハウの継承が困難な状況だ。
そこで、阪大と独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構は昨秋から、薬草栽培の作業の様子をビデオカメラで撮影する試みを始めた。
パナソニックが昨年5月に発売した顔に装着するウエアラブルカメラを利用。作業者の目線で撮影するため、注視すべき場所や手の動かし方などがはっきりと分かる利点がある。
プロジェクトでは、熊本県や大分県の農場で行っているカンゾウ国産化の研究の様子を撮影。ほかに、高知県立牧野植物園や漢方薬メーカーの栃本天海堂(大阪市)などが阪大と機構の勧めで導入し、技術の蓄積と伝承を進めている。
実際の作業の映像は、26日に阪大総合学術博物館で始まる漢方薬の企画展で公開される予定。薬草生産のイノベーション(技術革新)ともいえる産官学連携の新たな取り組みに、伊藤さんは「いろんな企業や機関に取り入れてもらいたい」と期待している。