子供の頃、幸二さんは長期の休みには必ず海外旅行に連れて行ってくれた。タヒチでゴーギャンの軌跡をたどり、スペインでアルタミラ洞窟の壁画を見た。海や山など自然いっぱいの中で遊び、必ず現地の美術館を訪れた。
大学時代は「重い」と思った幸二さんの存在だが、幸二さんが父だったから今の自分があると思えるようになった。
「父は放任的で、私に絵のことはほとんど教えなかった。それは一つのことを強制したくなかったからかも。いろんな国に行き、文化に触れたことで、物事はそれ一つで成り立っているのでなく、全てがつながっていることを自然に学んだ。絵を切り口に、自然環境や歴史、文化などさまざまな分野に思いを巡らせ、つなげることも父の絵や生活から学んだ。将来は父を超え、世界に通用する画家になりたいですね」(平沢裕子)
≪メッセージ≫
死ぬまで絵筆を握って頑張ってほしい。私もお父さん以上に頑張ります。
【プロフィル】絹谷幸二
きぬたに・こうじ 昭和18年、奈良市生まれ。東京芸大油画科卒、同大大学院壁画科修了。46年、イタリアに私費留学し、アフレスコ画の研究に取り組む。多彩な色で描かれた人物などが特徴。東京芸大名誉教授、日本芸術院会員。
【プロフィル】絹谷香菜子
きぬたに・かなこ 昭和60年、東京都生まれ。多摩美大日本画科卒、東京芸大大学院美術研究科修了。平成23年、吉野石膏(せっこう)美術財団在外研修員として1年間、ロンドン芸術大で学ぶ。個展を開く傍ら、子供絵画造形教室「ぱれっと」広尾の特別講師も務める。