各社の学術系文庫が並ぶ書店の棚=東京都千代田区の丸善丸の内本店【拡大】
曲がり角の文庫市場
既存の学術系文庫は、講談社学術文庫や角川ソフィア文庫、ちくま学芸文庫、平凡社ライブラリーなどがある。書籍流通に詳しい出版関係者によると、文庫全体の売り上げに対して学術系文庫が占めるシェアは、1~2%程度という。しかもその半分を岩波文庫が占めており、残りを各社で分け合う構図だ。
出版科学研究所によると、平成25年の文庫全体の推定販売額は前年比2・5%減の約1293億円となり、出版不況下で健闘してきた文庫市場も伸び悩みを見せている。現在の文庫の売れ筋はエンターテインメント小説に代表される文芸書だが、中公の石田本部長によると、最近はその勢いに陰りが見られるという。「今までは、文芸ベストセラーが稼いだ恩恵で学術系が生き残ってきた面があったが、今後は頼れなくなることも想定される。それに文芸書は当たり外れが大きい。地味な本でも一冊一冊きちんと出して、利益を積み上げていくしかない」
学術系の名著は大きく売れるわけではないが、需要は底堅い。文庫市場の曲がり角を見据えた、老舗の新戦略ともいえそうだ。