博子さんは諦めなかった。出産後は以前の研究を継続することはできなかったが、乳児や親の心理など工学技術を使って科学的に分析し、子育て支援に役立てる「育児工学」に専攻を変更。第2子(長男)出産後も子育てと研究を両立させ、地域の子育て支援や出産後の女性のケアなどの活動にも積極的に取り組む。
研究に行き詰まりそうになったとき、誠さんの「コツコツ努力を続ければきっと誰かが見てくれる」という言葉を思い出す。
「仕事をえり好みするなと父からアドバイスされています。出産は女性だけができる仕事。産後鬱がなぜ起こるのか、脳の働きがどのように変わるかを解明したい」。社会に還元できる成果を求め、全力投球の日々だ。(村島有紀)