◆距離感が見えないソーハラ
ソーハラ(*)は新しいジャンルのハラスメント。ネット上という職場外で精神的苦痛を与えるもので、問題は複雑だ。「部下に近づく手段としてSNSを利用する上司が問題になっていますが、距離感を見失ってしまう点では、現実世界と一緒。職場を離れたからといって、会社の上下関係が解かれたと思うのは勘違い。誰だって、上司からプライベートの会話に入り込まれたら不愉快ですよね。また、友達申請や『いいね!』の催促は、部下にしてみれば圧力や嫌がらせです。ソーシャルメディアの乱用は、相手の表情が見えないだけに一方通行になりやすく、想像以上の苦痛を与えるので、要注意です」
*ソーハラ=ソーシャルメディアによるハラスメント。ネット上での執拗なコミュニケーションの要求が問題になっている。
◆セクハラ申請する3つの目的
さて、セクハラ申請をするには、女性にも覚悟がいる。それでも踏み切るのは、女性側に明確な目的ができるためだ。中田さんはこれまでの事例から、被害者の要求を大まかに、(1)謝罪を望む、(2)相手への社会的制裁を望む、(3)お金を望む、の3つに分類する。
「素直に認めて謝ればスッと許す人もいれば、『あいつをクビにしてほしい』『地方に転勤させてほしい』と訴える人もいます。どちらもお金を目的としていない分、誠実な対応が求められます。金銭要求型の中には、まれに味をしめてリピーターになる人もいます。特に、妻子のいる男性は、会社に公表されないように示談金を払う結果になりやすい。身から出たサビとはいえ、注意が必要です」
◆異性として見られている証
中田さんによると、本当に深刻なのは、男性上司による男性部下へのセクハラだという。
「相談件数の割合は少ないですけれど、これは深刻ですよ。社内の誰にも相談できず、被害に遭われた方は悶々と悩んでいます」