■「2%」めぐる労使攻防
2015年春闘が事実上スタートした。経団連が20日、今春闘で経営側の指針となる経営労働政策委員会(経労委)報告を発表。給与水準を一律で引き上げるベースアップ(ベア)について「賃金を引き上げる場合の選択肢の一つ」と位置づけ、2年連続で容認する見解を示すなど、昨春闘よりも賃上げに前向きな姿勢を打ち出した。日本経済を長きにわたって苦しめるデフレからの脱却が視野に入る中、春闘は今年で60年を迎える。労働条件の改善を求めて経営側と交渉する日本独特の労働運動は、協調路線へと大きくかじを切ることで一つの岐路に立っており、今春闘の成否は今後の春闘の行方を左右しそうだ。
◆経労委報告で明記
「経営者のみなさん。勇気を持って、やるなら今でしょ」。1月6日に開かれた経済3団体共催の新年祝賀パーティーに来賓として招かれた安倍晋三首相は、居並ぶ経営者に対し、賃上げの決断を促した。
60年の歴史を重ねた春闘は、昨年から大きく様変わりした。労使が角を突き合わせ、ストライキをちらつかせて激しい交渉を繰り広げてきた時代もあったが、今は労使の間に行司役ともいえる政治が入り、重要な役割を演じている。
昨年末に開かれた政労使会議では、経済の好循環を実現するには企業が賃上げを実施し、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費を底上げすべきだとの考えを共有した。昨年4月の消費税率の引き上げで個人消費が失速し、好循環に急ブレーキがかかった今、賃上げの重要性は昨春闘よりも増している。