いま、首都圏に居住している65歳以上の高齢者は約810万人。うち約230万人が団塊の世代を含めた65~69歳だ。彼らは日本の高度成長にともなって地方から首都圏に出て郊外に一戸建てや分譲マンションを取得し、リタイア後のいまは旅行やグルメを楽しみ消費を牽引している。だが、いずれ75歳以上の後期高齢者となり、自宅から高齢者用の介護や医療施設に移る第2のリタイアがやってくる。
そうなれば郊外の戸建てや分譲住宅がゴーストタウン化するのは湯沢の例をみても明らかだ。街の活力は失われ、犯罪が起きやすくなる。人口減で自治体の運営も厳しさを増すだろう。
国立社会保障・人口問題研究所は高齢化の進展で日本の総世帯数は2020年の5305万世帯をピークにその後は減少に転じると推計している。前述の牧野さんは「世帯数が減少するなか、今まで通り住宅をせっせと作り、新しい家に住むという方程式は成り立たなくなる」とみている。