財務、厚生労働両省へ「介護報酬増額」の団体要請に同席する小池晃参院議員(右から3人目)=8日、財務省(しんぶん赤旗提供)【拡大】
■報酬アップこそ“成長戦略”
来年度、介護報酬(介護サービスの公定価格)の引き下げが狙われています。引き下げ幅は2.27%で、単年度では2003年度の2.3%減に匹敵するものです。介護保険の財政規模は年々増大しているので、今回の改定が過去最大規模の引き下げになることは間違いありません。
しかも、あとで述べるように、「介護職員の処遇改善」(1.65%)などを加えた上での報酬削減ですから、削減部分だけを見ると実質4.48%もの大幅引き下げとなります。
◆報酬削減で心配される影響
今後、削減の内容が具体化されますが、すでに特別養護老人ホームや小規模デイサービスの基本報酬引き下げなどが提案されています。これが実施されると、多くの事業所の経営を直撃することは必至です。
全国老人福祉施設協議会は「現在でも赤字施設が3割近くに及ぶ特養ホームなどでは、ボーナスカットや非正規雇用への切り替え、賃金水準の引き下げもあり得る危険な状況」としています。
厚生労働省は、今回の改定に盛り込む予定の「処遇改善加算」によって140万人(常勤換算)に月1万2000円程度の賃上げが実現できると説明しています。しかし、直接の介護職以外の事務職員や理学療法士など約70万人は対象外です。しかも加算を得られるのは、職務に応じた賃金体系や研修の実施、子育て支援など、労働環境が整っている事業所だけ。今でも2割弱の事業所が加算を受けられないのが実態です。