今年の春の賃上げ交渉は大手企業の回答が出てヤマを越した。結果は政府の強い賃上げ要請に答える格好で、ベースアップ(ベア)が復活した昨年をさらに上回る水準になった。これをどうとらえるべきだろうか。
労使の代表は、マクロ経済に好影響を与えるといった、政府に右にならえをしたような受け止め方をしている。自分たちの企業にとって何を意味するのかという問題意識が感じられず、他人ごとのような響きがする。
例えば3月18日の大手企業の集中回答に対する、日本経団連の榊原定征会長のコメントはこうだ。
「わが国経済に貢献するとの企業の姿勢を明確に表した本日の回答結果は、好循環の2順目を力強く回す原動力となる」
連合の古賀伸明会長は記者会見でこう述べた。
「デフレ脱却、新たなサイクルでの経済の好循環のために、昨年実現した、長年一定水準に張り付いていた賃金の引き上げを、さらに加速させ拡大しなければならない。本日、その道筋が付いたと思う」
昨春の定期昇給込みの賃上げ率は厚生労働省の集計では、2.19%で13年ぶりに2%を超えた。2%未満ではほとんどが定昇分になる。それまでの12年間は賃金を底上げするベアのない、実質的に「賃上げゼロ」の時代だったわけである。