連合が3月20日に509組合について集計した、今年の妥結額は定昇込み7859円で、率では定昇分が1.83%、賃上げ分は昨年の2倍の0.80%になった。定昇を除くと、消費税引き上げの影響を除いた昨年の消費者物価上昇率1.1%を下回る。とはいえ安倍晋三首相に尻をたたかれて、労使は長い“春眠”から覚めた。
賃上げが来年以降も続くかどうかを占うには、景気動向を無視できない。しかし、かつてのように経団連が「ベアは論外」と音頭を取り、企業が横並びで「賃上げゼロ」で済ませる環境ではなくなっている。人材の獲得が重要な経営課題として浮かび上がってきたからだ。
3月卒業の大学生の就職内定率は86.7%で、前年より3.8ポイント高まった。高校生は88.8%に達し、バブル景気の頃の水準に戻った。アベノミクス効果もあるが、企業には新規採用を増やさざるを得ない事情がある。賃上げ抑制とともに採用を絞って利益を確保する、守りの経営は限界にきている。
団塊の世代が現役を退き、このまま行けば、人の面から縮小均衡に陥る。例えばパナソニックは今春入社の新卒採用を前年比2倍の700人に増やし、さらに来春入社を800人にする計画だ。採用数が一昨年までの350人程度では「非常に小さな会社にしぼんでしまう」(津賀一宏社長)との危機感が背景にある。