企業はもう一つ人件費を抑制する方法として、非正規社員の割合を高めた。日本全体では非正規雇用が今や38%になる。だが人口が2008年をピークに減り続け、非正規の需給バランスも締まってきた。それを反映して今春の労使交渉では非正規社員の賃金の引き上げも目立つ。
これからは乏しきを分かち合うケチケチ経営では、企業は立ち行かない。高度成長期に猛烈社員が頑張ったのは、賃上げが期待できたからだ。グローバル競争が当たり前になった今、独創的な経営で有能な人材を好条件で使えなければ落後する。人を安く使える時代は終わったと、今年の賃上げは告げている。
◇
【プロフィル】森一夫
もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。65歳。