ベルギーのチョコレート会社が運営する「ザ クリーム オブ ザ クロップコーヒー 清澄白河ファクトリー」もあるし、ニュージーランドの「オールプレスロースタリー&カフェ トーキョー」も営業中。この地には、独立系のコーヒー店が続々と進出しているのだ。
2000年に都営大江戸線が開通し、2003年に東京メトロ半蔵門線も延伸して交通の便が向上した清澄白河。1995年に近隣に東京都現代美術館が開館してからはアートの洒落たイメージも手伝って遠くから足を運ぶ人も少なくない。だが、多くのサードウェーブの店がこの地に店を構える一番の理由は昔ながらの気取りのない下町の空気ではないか。植木鉢が並ぶ民家や桜並木の運河など、この街には近所に住む人も、遠来の客も、誰もがゆったりとコーヒーを楽しめる親しみやすさが満ちている。
早くから清澄白河の住人というコーヒーチェーン、プロントの羽入隆之・事業企画部副部長は「10年前はコーヒー1杯飲むのにも店がなくて苦労したのに、いつの間にか聖地になっちゃって」と笑みを漏らす。「これからコーヒーは豆の煎り方だけでなく、土壌やアロマなどワインに似た楽しみ方に変わっていくのかもしれません」。