大前氏が日本支社長を務めたコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーでは「聞いていない」を言ったら社内ではおしまいだという。なぜなら社内ではその人に情報を伝えても意味がないし価値もないとの烙印(らくいん)を押した証拠だからだという。怖い世界だが明快でもある。日本企業や役所内には「聞いていない」が蔓延(まんえん)している。基本的に意見を求められたくないという自己防衛本能なのだろうが、これでは社員が1000人いても会社が成長することはない。
「変な人」あるいは「性格の悪いやつ」の定義は他人に迎合しないことにもある。
マッキンゼーには「異議・異論を唱える義務」の不文律があり、相手の意見が間違っていると思ったら上司でも年上でもあえて手を挙げて反論する。同社では異論を述べることは権利ではなく義務であるという。米アップルにも同義語として「be brutal」(残忍なくらいはっきり言う)がある。グローバルで成功するにはそのくらい厳しい。曖昧な意見をいうサラリーマンや役人は良く聞くべきだ。