筆者が以前勤めた米国の会計ソフト会社の大手インテュイットでは人材募集を「Talent Acquisition」つまり「タレント募集」と呼んでいた。同社の信じる求人とは社員の頭数を集めるのではなく優秀な才能(タレント)を集めることだという。従って才能の有無が採用基準の最大値であり、学歴や年齢、性別、国籍などは無関係だ。
世界の企業が競ってグローバル化を目指す今、海外企業は国籍を超えて最高の人材を集め始めている。就活で自社に寄ってくる学生だけをピックアップして採用する日本独自のシステムでは世界で戦うことは至難の業だ。
かつてのソニーは「出る杭(くい)を求む」と広告してあえて尖った人材を募集していた。もしソニーが本気で復活を目指すなら、次回は「性格の悪いやつ求む」に広告を変えた方がよいかもしれない。
【プロフィル】平松庚三
ひらまつ・こうぞう 実業家 アメリカン大学卒。ソニーを経てアメリカンエキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長(現職)。他にも各種企業の社外取締役など。68歳。北海道出身。