東南アジアを旅していると、観光業以外の仕事に従事する人の、あまりの勤労意欲の低さに驚かされることがある。どうやら一等車と二等車の乗客を、それぞれ管理するのがめんどうなので、二等車にまとめて乗っけておきたいらしい。
マハーチャイ線は、私が大好きな「江ノ電」に勝るとも劣らないほど、民家の軒先ぎりぎりをかすめて走っていく。それにしても暑いしヒマだ。そして、目の前には色とりどりの綿あめを持った弁当売りがいる。“駅弁”は、このコラムの読者のみなさまも、興味があるトピックのひとつ。ひとつ買って写真を撮ろう。
ようやくやることが見つかって、おじさんに声をかけると、またもや断られてしまった…! 弁当は、目的地に行ってから売り始めるのであって、いま荷を開くのはめんどうくさいらしい。
ベンチシートで隣りに座ったおばさんは、列車が停まるたびに「あと何駅で終点だ」と、数え上げてくれる。あと6駅…。気怠げな客たちを乗せて、列車はため息をつくように大きく車体を揺らし、またのんびりと動き出した。
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら